ひとひらの愛

独断と偏見とポエム

自治厨の胸の裡

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 その昔、「対象と結婚したいのがファン、対象の結婚相手を選びたいのがオタク」という名言を吐いた人がいて、深く首肯するとともに、以来誰かに対して「かっこいいすき……」と思うたび、その人と結婚したいか/その人の結婚相手を選びたいか、という二軸で自分の感情をマッピングするようになった。「かっこいいすき……」の中にはいつも「あの人みたいになりたい」という憧れ成分が含まれていて、その横に並ぶ自分を想像可能かどうかは対象によりけりだ。

 「いや畏れ多いむりむりむり」となることがほとんどだが、「じゃあ自分以外の誰が並んでもいいのか?」というと「いやこれはちょっと許せないライン」が存在するのが、だいたいのオタクの胸の裡じゃないかと思う。ちょっと許せないライン=「悪い虫」判定をこじらせると人は自治厨へと進化を遂げ、他の悪い虫判定と意見が相違すると戦争になる。いわゆる「解釈違い」である。

 

 アイドル、声優から若手俳優まで対象のジャンルを問わず、「自担が誰と撮られたら(≒横に並んでいたら、剰え付き合っていたら!)一番嫌か?」というテーマを投げかけられたら、だいたいのオタクは沈思する。「よくわからない地下アイドル」「共演している女子アナ」「タレント文化人」「同い年の一般女性」「自分よりかわいいオタク」「自分よりかわいくないオタク」。悪い虫の可能性は無限に近く幅広く、「結婚相手が誰と浮気したら嫌か」という問いの100倍議論は白熱する。「それだけは絶対ありえない!」しかし運が悪ければ実際に撮られ、闇堕ちした自治厨は黒薔薇のデュエリストに変身する。

 

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アオヤギミホコ(id:ao8l22)さんにお誘いいただいて、「有限王朝マガジン vol.3」『少女革命ウテナ』特集に、エッセイ……?を寄稿させていただきました。これはその冒頭部分です。

 最初に、「作家の月村了衛さんが脚本を担当された回限定の、ウテナ特集の同人誌を作ります」と言われたときは、「なんて素敵な企画……!ぜひ参加したい!!!」と意気込み、久しぶりにウテナのBD全巻を見返しました。

20話「若葉繁れる」&21話「悪い虫」について書きたい、というのは結構早い段階から決まったのですが、気付いたらドルオタの話になっていて、あれおかしいな……。

 

 

わたしの譫言めいた散文はさておき、すごく素敵なご本になっていると思います。コミックマーケット92にて頒布予定ですので、今週の土曜日に国際展示場に行かれる方は、ぜひお手にとってみてください。スペースは東K03aです。(発売されたばかりの『浪費図鑑』も話題の劇団雌猫さんの新刊「悪友 vol.2 恋愛」も委託されるそうです。)

 

 

「自担が誰と撮られたら一番嫌か?」という話題は本当に盛り上がるので、ぜひ皆さんも飲み会などで話してみてください……。「一番」というのがポイントで、いろんなバリエーションが考えられると思いますが、究極の「一番嫌」を探すと、結構己の業の深さを垣間見ることができます。

 

ちなみにわたし自身が、加藤シゲアキさんと撮られたら一番嫌だと思うのは、椎木里佳さんです。別に椎木さん自体が嫌いなわけではなく、なぜと言われたら説明は難しいんですが、加藤さん椎木さんごめんなさい……。